オーバーラッピングってどうやるの?
なるべく簡単で効果的にやる方法を知りたい!
こんなお悩みを解決します。
オーバーラッピングは、リスニング力アップにはぜひやってほしいおすすめの勉強法の1つです。
わたし自身、精読→オーバーラッピング→シャドーイングという流れで1つの音声を使い倒すやり方で、TOEICのリスニングは475点(495点満点)取ることができました。
- 5ステップでできるオーバーラッピングのやり方
- 忙しい人向け・すきま時間でオーバーラッピングをするヒント
- おすすめの教材(有料・無料)
わたしの実際のノートの写真も交えながら解説します。1ステップずつやっていけば、オーバーラッピングがうまくできなくて挫折することはなくなります。ぜひ最後までご覧ください。
オーバーラッピングとは、音声と同時に発話する勉強法
オーバーラッピングとは、聞こえてくる音声に合わせて、同じスピードでスクリプト(テキスト)を読み上げる勉強方法です。
スピードを合わせるだけでなく、アクセントやイントネーションなども真似して読んでいきます。
シャドーイングとの2つの違い
オーバーラッピングとよく比較される勉強法に、シャドーイングがあります。違いは、スクリプトの有無と発話するタイミングの2つです。
シャドーイングはスクリプトを見ず、聞こえた音声をそのまま真似するので、音声より数秒遅れて発話することになります。
オーバーラッピング | シャドーイング | |
---|---|---|
スクリプト | 見る | 見ない |
発話するタイミング | 同時 | 音声より数秒遅れる |
難易度としてはシャドーイングが上なので、1つの音声でオーバーラッピング→シャドーイングの順でやるのがおすすめです。
オーバーラッピングで得られる効果
オーバーラッピングで得られる効果は以下の2つあります。
- リスニング力の向上
- 発音が良くなる
です。
リスニング力の向上
1つ目はリスニング力の向上です。
音声と同じスピードで発話するためには、音の連結や強弱などに意識を向ける必要があります。“Would you”は”ウッド ユー”ではなく”ウジュー”と読むんだな、が知識としてわかり、練習を重ねる中で徐々に身についてきます。
積み重なると聞き取りがしやすくなり、リスニング力の向上につながるのです。
発音が良くなる
同様に、音声を真似して読む過程で発音が良くなる効果もあります。
すべての単語をはっきり発音していたら音声のスピードにはなかなか間に合いません。
回数を重ねるうちに英語ならではの発音ルールやアクセント、イントネーションが身につくようになり、発音が改善され、英語らしいスピーキングができるようになってきます。
初心者でも迷わない、オーバーラッピングの詳しいやり方
ここからはオーバーラッピングのやり方を1つ1つ丁寧に解説していきます。
- スクリプト付きの音声
- ペン
- (必要があれば)イヤホン
手順は全部で以下の5ステップです。
STEP1:スクリプトの内容は理解しておく
読む練習を始める前に、スクリプトの内容は理解しておきましょう。
内容を理解した上でオーバーラッピングをすると、初めて出会った単語や苦手な文法の定着にも効果があるのが理由です。
具体的には、知らない単語や文法的に意味がわからない箇所はないか、チェックします。
意味や文の構造をじっくり読んで理解するのを「精読」と言います。さっと意味をチェックして終わりではなく、しっかり理解しておくことがおすすめです。
精読のやり方は「精読をするメリットと具体的なやり方【実例ノート写真付き】」を参考にしてください。
STEP2:リンキングやアクセントをチェックする
オーバーラッピング初心者に特におすすめなのが、いきなり読み始める前にリンキングやアクセントを確認して、スクリプトに書き込んでおくこと。
単にスクリプトを見ながら真似して読むって、なかなか難易度高めなんですよね。一手間ではありますが、書き込んでおくと発音を意識してオーバーラッピングしやすくなります。
チェックするのは、
- 音声の区切り(少し間が空くところ)
- 特に強く読まれるところ
- 読まれない(聞こえない)単語
- 音が繋がるところ(リンキング)
実際のわたしのノートはこんな感じ。
音声を何度も聴きながら、
- 1回目:音声の区切りに「/」を入れる
- 2回目:特に強く読まれる単語にマーカーを引く
- 3回目:読まれない(聞こえない)単語の上に「○」をつける
- 4回目:音が繋がっているところに印をつける
というように注目して聴くポイントを変えつつスクリプトに書き込みます。
STEP3:数回音読して口慣らしする
どんな風に読めば良いかわかったところで、数回音読して口慣らしをします。いきなりオーバーラッピングを始めても良いのですが、慣れないと全然ついていけないことも。
読んでみて初めて、発音が怪しい箇所が見つかることもあります。走る前の準備運動のつもりで、音読してみましょう。
STEP4:音声と同時に読む
ここでようやくオーバーラッピングをします。書き込んだスクリプトを見ながら、音声と同じように読めるまで何回も繰り返します。
まずはスピードに慣れることを優先して、余裕ができてきたら強弱やイントネーションも意識してみるとやりやすいです。
回数としては少なくても10回〜自分が納得できるまで。
わたしは20回前後やることが多いです
STEP5:余裕があれば録音してみる
できたと思ったら、読んでいるところを録音してみるのもおすすめです。
読めているつもりでも、びっくりするほどできてないことも…。できていない箇所がわかれば、そこを重点的に練習します。
スマホのアプリを使えばかんたんに録音できます。自分の声を録音して聴くのに抵抗がある人もいるでしょうけど、慣れます!英語力アップのためと思ってぜひ試してみてください。
録音して聞くと、予想以上のできてなさに衝撃を受けるかもしれません。
でも、もっとがんばろう!とやる気も注入されます。
オーバーラッピングを行うときの注意点
オーバーラッピングをするときに注意したい点が2つあります。
それが、
- スクリプトの意味を理解できないままやらない
- レベルに合った教材を選ぶ
です。
スクリプトの意味を理解できないままやらない
オーバーラッピングをする前に、知らない単語や意味が取れない文はなくしておくようにします。
オーバーラッピング自体は、全く意味がわからない文章を使ってもできる勉強法ではあります。ただ、意味がわからないままやるのはすごくもったいないです!
何回も繰り返し読むので、知らなかった単語も定着しやすくなります。イントネーションを真似するのも、意味がわかってやっていた方が気持ちが込めやすいです。
一手間ではありますが、スクリプトを理解してからオーバーラッピングするようにしましょう。
スクリプトを理解するという一手間が、のちのち効いてきます
レベルに合った教材を選ぶ
レベルに合った教材を選ぶのも大切です。
知らない単語が多すぎたり、スピードが早すぎたりする音声を選ぶと、なめらかにオーバーラッピングできるようになるまでかなりの回数が必要になります。
どうしてもこの音声でやりたい!という熱量があるなら良いのですが、なかなかうまくできないと途中で嫌になって勉強自体から遠ざかってしまう可能性も。
特に最初のうちは、少し簡単だと思うくらいのレベルで良いです。
うまくできない時の対処法
オーバーラッピングがうまくできない理由のほとんどは、「速くて間に合わない」だと思います。
対処法を2つご紹介します。
- 発音を確認する
- 速度を調整する
発音を確認する
まずは、音声についていけない箇所をよく聴き、どんな風に発音しているかを確認します。
- 読まれていない単語
- 繋がって別の音に聞こえる箇所
- 発音変化している箇所
はありませんか?
例えば、
- water:ゥワーラー(“t“の音が“l“に)
- first of all:ファースタブル(firstの“t”とofの“o”、ofの”f”とallの”a”が繋がる)
- I like him:アイライキム(himの”h”は発音されず脱落する)
のような、発音変化のルールは知らないと聞き取れません。
発音ルールを勉強するには、以下のyoutubeがすごくわかりやすくまとまっていておすすめです。
速度を調整する
リンキングを確認してもついていけない場合は、再生速度を×0.8倍や×0.9倍にして練習します。できるようになったら徐々に上げていきましょう。
ただ、使っているのが無料音声の場合、例えば
- YouTube:1.0倍の次にゆっくりなのは0.75倍
- Apple Podcasts:1.0倍の次は0.5倍
と再生速度の調整があまりできません。※Google Podcastなら0.1刻みで再生可、Spotifyは0.8倍速有り
速度調整ができるアプリを選ぶか、最初から速度調整が細かくできる音声素材を使うと良いです。
すきま時間でオーバーラッピングをするヒント
オーバーラッピングは音声が聞けてスクリプトが見られればできるので、すきま時間にやりやすい勉強法です。
ちょっとした時間によりやりやすくオーバーラッピングをするためには、音声・スクリプトをすぐ手に取れるようにしておくのがおすすめです。
例えば、
- 音声はタブレットやスマホ等複数の媒体で再生できるようにしておく
- スクリプトはスマホと紙で準備しておく
- スクリプトを印刷した紙はキッチンに置いておく
みたいな感じです。
複数の媒体で準備してあると、子どもにタブレットを取られてもスマホが使えます。比較的長くいるキッチンにスクリプトがあれば、ちょっとした時間にパッと手に取れます。
キッチンで立ちながらでも車の中でも、30秒ほどの音源なら1分あれば1〜2回はオーバーラッピングや音読ができますし、すきま時間は活用しやすいです。
教材の選び方
オーバーラッピングに使う教材を選ぶポイントは3つです。
- 30秒前後の音声
- 内容がある程度理解できるもの
- YouTubeや Podcastを使う場合はきれいな発音のもの
30秒前後の音声がおすすめなのは、ちょうどやりやすい長さだから。
1分より長い音声だと繰り返し読むには長すぎて、できる前に嫌になってしまうことも
使いたい音声が長い場合は、30秒前後になるよう範囲を決めればOKです。
内容は読んで理解できるものにします。耳だけだとわからないところもあるけど、スクリプトを見ると、なーんだ、こんなこと言ってたんだとわかるくらいが目安です。
また、スクリプトがあるならYouTubeやPodcastなど無料の音声でも良いのですが、発音に気をつけて選ぶようにしましょう。
無料の音声は訛りが強い英語も多いです。自分が真似して発話するなら、なるべく発音がはっきり綺麗なものを選んでください。
ここからは、おすすめの教材を紹介していきます。
おすすめ教材〜無料編
- お金をかけずにやりたい
- 興味が持てる内容の音声を使いたい
- 生の英語にたくさん触れたい
The English We Speak
“The English We Speak”はイギリスの放送局、BBCが運営しているPodcastです。
毎回日常会話で使えるフレーズを1つ紹介してくれるPodcastで、1エピソードは3分以下。繰り返し聞きやすい長さです。スクリプトは「The English We Speak」のサイト上で公開されています。
Podcastはこちらから▶︎The English We Speak
6 minutes English
“6 minutes English”もBBCが運営しているPodcastです。
1エピソードは6分。時事・文化・科学などさまざまなジャンルから、身近な話題や興味が惹かれるテーマについて2人の会話形式で話が進みます。
エピソードは毎回、イントロダクション→その日のクイズ→解説の流れで進みます。イントロダクションの部分だけ・解説の最初の30秒だけと言ったように、オーバーラッピングに使う範囲を区切りやすいのもおすすめポイントです。
スクリプトは「BBC Learning English」のサイト上ですべて公開されています。サイト上で音声も聞けるので、Podcastアプリがなくても使えます。
Podcastはこちらから▶︎6 minutes English
ネイティブキャンプ
ネイティブキャンプは大手のオンライン英会話スクールですが、無料会員になると自習コンテンツが使えるんです。オンラインレッスンを契約しなくても(レッスンを解約した後も)、です!
会話、ニュース、フィクション、インタビュー等レベル別にスクリプト付きの音声がたくさんあり、自分の興味に合わせて選べます。
会員登録すると7日間のオンラインレッスンのお試しもついてくるので、オンライン英会話が気になっている方にもおすすめ。
有料会員(オンラインレッスンを継続する会員)にならない場合は、7日間のお試し期間中に解約して無料会員に変更するのだけは忘れずに!自動更新で契約が始まってしまいます。
無料会員登録はこちらから▶︎ ネイティブキャンプ
TED
TEDでは、科学、教育、ビジネスなど各分野の専門家のスピーチが聞けます。
- YouTube、Podcast、アプリと複数の媒体から使いやすいものを選べる
- スクリプトが探しやすい
- 話自体もおもしろい
とメリットも多く、英語学習者に人気なのも納得です。
初級者向けのレベルではないのと、ネイティブではない人のスピーチも多いのは注意です。
「英語で学ぶ」のにもおすすめなので、興味のある分野のスピーチを探してみてください。
TEDはこちらから▶︎TED
おすすめ教材〜有料編
- 毎回教材を探す時間を省きたい
- 確実に質の良い教材で勉強したい
- オーバーラッピングは初めてやる
音読パッケージトレーニング
中学レベルの英語で、30秒〜1分ほどのスクリプトと音声がまとまった本です。小さな本屋でもよく見かける、英語学習者の中では有名な1冊です。
やり直しで1から英語を勉強したいけど、何を選べば…?という人におすすめ。
本を使った勉強法もかなり詳しく書いてあり、わたしはやる気が落ちた時はよく読み返してモチベーションを復活させていました。
究極の英語リスニング
長さ1〜2分の音声とスクリプトが40〜50本入っている、リスニング勉強用のテキストです。
レベル別にVol.1からVol.4まであります。
日常会話からビジネス、旅行とジャンルも様々。アメリカ・イギリス・カナダなど複数の国の英語を聞きながら学べるのも嬉しいポイントです。
TOEIC公式問題集
将来的にTOEICを受けたいなら、TOEICの問題集を使ってオーバーラッピングするのがおすすめです。
1問あたり30秒~1分以内の長さなので、時間的にもぴったり。繰り返すことでTOEICによく出てくる単語やフレーズも身に付きます。
わたしもTOEICの問題でオーバーラッピングやシャドーイングをして、リスニング475点までアップしました!
TOEICの問題集はたくさん出ていますが、公式問題集は必携です。公式問題集を解いて苦手がわかってから苦手Partに特化した参考書を買うので十分です。
英検問題集
英検の受験を考えているなら、英検の問題集を使ってオーバーラッピングしましょう。
テキストは数多くありますが、過去問を使うのがおすすめです。
CNN ENGLISH EXPRESS
CNN ENGLISH EXPRESSは、アメリカのニュースチャンネル・CNNのニュースを使った学習者向けの月刊雑誌です。「CNNEE」とも呼ばれています。
中身は、様々なジャンルのニュースやスピーチ、連載など楽しく読めるコンテンツが豊富です。特に、1冊に7~8個入っている30秒前後の実際のニュース音声とスクリプトはオーバーラッピングにぴったり。
生の英語の音声と、ゆっくりはっきり話す学習者用の英語音声、1つのニュースに対して2種類の音声があり、自分のレベルに合わせて選べるのも嬉しいところです。
学習者用音声を使うとしても難しい単語も出てくるので、TOEICで700点以上あった方が有効活用できると思います。読み物として楽しむなら初心者でも!
バックナンバーも購入できるので、自分の興味がある特集が組んである号を選んでみてください。
オーバーラッピングができたら次はシャドーイング
以上、オーバーラッピングについて解説してきました。やり方をもう一度おさらいしたい方は「オーバーラッピングのやり方」からどうぞ。
元の音声と同じスピードでなめらかにオーバーラッピングができるようになったら、次はシャドーイングに挑戦してみましょう。
シャドーイングは、スクリプトを見ずに聞こえた音声を真似して発話します。オーバーラッピングができたあとなら、だいぶやりやすいはず。
シャドーイングのやり方は「シャドーイングで効果が出るまでの期間は?効果的なやり方とコツも紹介」で読めます。
1つの音声を使い倒して、リスニング力アップをしていきましょう。
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